RTX 50 SUPERシリーズは、すでに一部のグラフィックボードメーカーへ届いているものの、発売が保留されていると報じられた。
原因はGPUではない。
24Gbit、つまり1枚3GBのGDDR7メモリが高すぎるためだ。
報道によると、3GB GDDR7チップは1枚60~70ドル。現在使われている2GB品は約20ドルとされ、容量を1.5倍にするだけでメモリ原価が約3倍へ跳ね上がる。NVIDIAは製品自体を用意できても、いくらで売るかを決められない状態にある。
ただし、予想されている製品構成はかなり魅力的だ。
RTX 5080 SUPERとRTX 5070 Ti SUPERは24GB、RTX 5070 SUPERは18GBへ増量される。
RTX 50シリーズ最大の欠点だった「GPU性能に対してVRAMが少ない」という設計が、ようやく修正されるからだ。
2026年7月時点ではNVIDIAから正式発表されていないため、以下はリークされた予想スペックを基準にした評価となる。
RTX 50 SUPERの予想スペック
| 製品 | CUDAコア | VRAM | バス幅 | メモリ速度 | 帯域幅 | TBP |
|---|---|---|---|---|---|---|
| RTX 5080 SUPER | 10,752 | 24GB GDDR7 | 256-bit | 32Gbps | 1,024GB/s | 415W |
| RTX 5070 Ti SUPER | 8,960 | 24GB GDDR7 | 256-bit | 28Gbps | 896GB/s | 350W |
| RTX 5070 SUPER | 6,400 | 18GB GDDR7 | 192-bit | 28Gbps | 672GB/s | 275W |
RTX 5080 SUPERとRTX 5070 Ti SUPERは、無印モデルからCUDAコア数が増えない見込みだ。
RTX 5070 SUPERだけは6,144コアから6,400コアへ約4.1%増えるが、SUPERシリーズの本質は演算性能の強化ではない。
VRAM容量を1.5倍へ増やし、無印モデルに掛かっていた制限を外すことだ。
結論:三つのSUPERは役割がまったく違う
先に用途をまとめると、こうなる。
| 製品 | 最も向いている用途 |
|---|---|
| RTX 5080 SUPER | 4K最高設定、動画編集、3DCG、RTX 4090の役割を新品で置き換えたい人 |
| RTX 5070 Ti SUPER | 4Kゲーマー、配信、動画編集、価格と24GB VRAMを両立したい人 |
| RTX 5070 SUPER | 1440p高fps、DLSS前提の4K、CUDAやNVIDIA機能を必要とする人 |
単純に高い順で選ぶ製品ではない。
RTX 5080 SUPERはクリエイター寄り。
RTX 5070 Ti SUPERは4Kゲーマーの本命。
RTX 5070 SUPERは、RTX 5070が本来なるべきだった完成形だ。
RTX 5080 SUPERは「新品で買えるRTX 4090の代わり」
RTX 5080 SUPERは、RTX 4090の純粋な性能後継ではない。
CUDAコア数もメモリバス幅もRTX 4090より小さいため、ネイティブ描画や汎用演算で必ずRTX 4090を超えるとは考えにくい。
しかし、RTX 4090が担っていた役割を新品市場で引き継ぐ製品にはなる。
RTX 5080 SUPERは、現行RTX 5080と同じ10,752 CUDAコアを使用しながら、VRAMを16GBから24GBへ増量。メモリ速度も30Gbpsから32Gbpsへ上がり、帯域幅は960GB/sから1,024GB/sへ増える見込みだ。
演算器が大幅に増えるわけではないため、VRAMを使い切らないゲームでの性能向上は小さい。
だが、4K最高設定、レイトレーシング、高解像度テクスチャ、MOD、動画編集、3DCGでは話が変わる。
16GBでは余裕がなかった処理を、24GBなら設定を落とさず実行しやすくなる。
4Kゲームではほぼ理想的な構成
4Kではレンダリング解像度、テクスチャ、レイトレーシング用データ、フレーム生成用バッファーによってVRAM使用量が増える。
RTX 5080の演算性能に16GBという構成は、現在のゲームを動かすだけなら足りても、長期間使うハイエンド製品としては心細かった。
24GBなら、DLSS超解像度、レイ再構成、マルチフレーム生成を使いながら、高解像度テクスチャやパストレーシングまで狙いやすい。
価格を無視すれば、4Kゲーミング用途ではRTX 5090より消費電力と本体価格を抑えつつ、必要十分な性能を得られる可能性が高い。
動画編集ではデュアルNVENCとデュアルNVDECが効く
現行RTX 5080は、第9世代NVENCを2基、第6世代NVDECを2基搭載している。
SUPERでも同じメディアエンジン構成を引き継ぐなら、複数映像の同時デコード、プロキシ生成、配信しながらの録画、複数動画の書き出しで強い。
デュアルNVDECによって複数の高解像度素材を並行して読み込み、デュアルNVENCでエンコード処理を分散できる。
24GB VRAMも、8K素材、ノイズ除去、AI補間、複雑なFusionコンポジション、3DCGレンダリングで効いてくる。
RTX 5080 SUPERは、ゲームだけをする人には過剰になりやすい。
しかし、ゲーム、配信、動画編集、3DCGを一台で処理する人には、まさにRTX 4090が座っていた場所へ入る。
AI用途では24GBが微妙な境界になる
Blackwell世代は、第5世代TensorコアでFP4演算に対応する。
対応する生成AIでは、FP4やNVFP4によってメモリ使用量を削減し、画像生成などを高速化できる。
RTX 5080 SUPERの24GBは、画像生成、動画生成、音声処理、中規模のローカルLLMには十分魅力的だ。
ただし、AIが主目的なら24GBは依然として中途半端でもある。
モデル本体だけで24GBを使い切れば、KVキャッシュ、長いコンテキスト、複数モデル、学習用オプティマイザーを置く余裕がない。
FP4対応は容量不足を軽減するが、あらゆるモデルがNVFP4で品質を保ったまま動くわけでもない。
ローカルAIの速度を優先するなら32GBのRTX 5090、大規模モデルを収容する容量を優先するなら128GB統合メモリのDGX Sparkという選択肢がある。RTX 5090は32GB GDDR7、DGX Sparkは128GB LPDDR5Xを搭載している。
ただし、DGX Sparkのメモリ帯域は273GB/sであり、1TB/sを超えるRTX 5080 SUPERとは性格が違う。
- 高速な推論、画像生成、ゲーム兼用ならRTX 5090
- 多少遅くても巨大モデルを載せたいならDGX Spark
- ゲームとクリエイティブが主体で、AIも使うならRTX 5080 SUPER
という選び方になる。
RTX 5070 Ti SUPERは4Kゲーマーの本命
RTX 5070 Ti SUPERは、三製品の中で最もバランスがいい。
RTX 5080と同じGB203ダイを使い、84SMのうち70SMを有効化したカットダウン版となる見込みだ。
乱暴に言えば、RTX 5080用GPUから一部のコアを無効化した製品である。
製造上の欠陥がある部分を無効化して救済する場合もあるが、すべてが「歩留まりの悪い個体」というわけではない。需要に合わせた製品区分として、正常なダイを意図的に制限することもある。
それでも、元がGB203なので素性はいい。
8,960 CUDAコア、256-bitバス、896GB/sという基本構成はRTX 5070 Tiと変わらない。TBPが300Wから350Wへ増えるため、実製品ではクロックが引き上げられる可能性がある。
「少し遅い5080 SUPER」と考えていい
RTX 5080 SUPERとの違いは主に三つだ。
- CUDAコアが約17%少ない
- メモリ帯域が1,024GB/sではなく896GB/s
- 現行構成を引き継ぐならNVDECが1基
ただし、VRAM容量は同じ24GBだ。
現行RTX 5070 TiもNVENCは2基搭載しているため、配信や動画書き出しには十分強い。一方、NVDECは1基なので、多数の高解像度映像を同時に扱う編集環境ではRTX 5080系に差を付けられる。
ゲームでは、デュアルデコーダーの差はほとんど関係ない。
4Kゲームで重要な24GB VRAM、256-bitバス、約900GB/sの帯域は確保されている。
そのため、RTX 5080 SUPERほどのクリエイター性能や最高fpsを必要としないゲーマーには、RTX 5070 Ti SUPERの方が合理的だ。
4KでDLSSとMFGを使うなら最も扱いやすい
4Kネイティブで常に最高設定を維持するには、ゲームによってRTX 5080 SUPER以上が必要になる。
しかし、DLSS超解像度とマルチフレーム生成を使う前提なら、RTX 5070 Ti SUPERでも十分に4K高fpsを狙える。
16GBだったRTX 5070 Tiでは、今後の高解像度テクスチャ、パストレーシング、MOD環境で容量が先に限界へ達する可能性があった。
24GBなら、GPUコアを使い切る前にVRAMが詰まる場面を大幅に減らせる。
無印RTX 5080はコア性能で上回るが、VRAMは16GBしかない。
価格が極端に離れない限り、長期利用、4Kゲーム、動画編集のどれを考えても、RTX 5080 16GBよりRTX 5070 Ti SUPER 24GBを選ぶ方が合理的だ。
RTX 5070 Ti SUPERこそ、RTX 50 SUPERシリーズのゲーマー向け本命である。
RTX 5070 SUPERは「RTX 4070 Ti SUPERの再来」
RTX 5070 SUPERは、最も分かりやすく改善された製品だ。
現行RTX 5070は、RTX 4070 Tiに迫る性能を持ちながらVRAMが12GBしかない。
GPUの演算能力は上がったのに、VRAM容量だけがミドルレンジのまま残された。
モデルチェンジ前にはLEDヘッドライトだった車が、新型の初期モデルだけなぜかHIDへ戻されたような構成である。動くし明るいが、なぜそこを退化させたのか誰も納得できない。
RTX 5070 SUPERではCUDAコアが6,144基から6,400基へ増え、VRAMも12GBから18GBへ増量される見込みだ。
一方、192-bitバス、28Gbps GDDR7、672GB/sの帯域幅は変わらない。
つまり、劇的に高速化する製品ではない。
RTX 5070のコア性能を、VRAM不足で妨害せず最後まで使えるようにした製品だ。
18GBなら4Kも現実的になる
18GBあれば、一般的な4Kゲームで容量不足を過度に心配する必要はなくなる。
純粋なコア性能では4K最高設定を常時ネイティブ描画するクラスではないが、DLSS超解像度、レイ再構成、MFGを組み合わせれば十分に実用的だ。
1440p高リフレッシュレート用途なら、かなり余裕がある。
4Kでも設定を適切に調整すれば、画質を大きく妥協せず高fpsを狙える。
RTX 4070 Ti SUPERが16GB VRAMによってゲームとクリエイティブの両方で長く使える構成だったように、RTX 5070 SUPERも「70番台で十分な容量を持つ製品」として扱える。
性能が同じという意味ではない。
製品の立ち位置と完成度がRTX 4070 Ti SUPERに近い。
RX 9070 XTには純粋なコア性能で勝ちにくい
RTX 5070 SUPERの弱点は、CUDAコアの増加が約4.1%にとどまることだ。
クロックが多少上がっても、RTX 5070から別物になるほどの性能向上は期待しにくい。
RX 9070 XTはRTX 5070に対して、4Kラスター性能で約29%、レイトレーシングを含むテストでも16~20%上回っていた。RTX 5070 SUPERの小幅なコア増加だけで、この差が消える可能性は低い。
通常のラスタライズ性能、一般的なレイトレーシング性能を重視するなら、RX 9070 XTの方が強い可能性が高い。
一方、完全なパストレーシングでは、依然としてNVIDIAが大きく優位に立つ。
RTX 5070 SUPERを選ぶ理由は、単純なfpsだけではない。
- CUDAを使用するアプリ
- DLSSの対応状況
- レイ再構成
- マルチフレーム生成
- NVENC
- Stable Diffusionや生成AIの対応
- NVIDIA Studioドライバー
- パストレーシング
これらへ価値を感じるかで決まる。
RX 9070 XTより大幅に高ければ、純粋なゲーマーには勧めにくい。
価格差が小さく、NVIDIA固有機能を使うなら、RTX 5070 SUPERは非常に完成度の高いグラフィックボードになる。
無印RTX 50をすでに持っている人は買い替える必要がない
RTX 50 SUPERは、無印RTX 50シリーズから大幅に演算性能が上がる製品ではない。
RTX 5080 SUPERとRTX 5070 Ti SUPERは、CUDAコア数が無印と同じ。
RTX 5070 SUPERも増加率は約4.1%しかない。
そのため、すでにRTX 5080やRTX 5070 Tiを所有し、VRAM不足を感じていないなら買い替える意味は薄い。
一方で、これから新品を購入する人は話が違う。
RTX 5080 16GBとRTX 5080 SUPER 24GB。
RTX 5070 Ti 16GBとRTX 5070 Ti SUPER 24GB。
RTX 5070 12GBとRTX 5070 SUPER 18GB。
価格差が常識的な範囲なら、無印を選ぶ理由はかなり減る。
問題は、その価格差が常識的になるかだ。
3GB GDDR7チップが2GB品の約3倍とされる現在の状況では、NVIDIAがVRAM増量分をそのまま販売価格へ載せる可能性がある。
良い製品ができても、価格が壊れれば意味がない。
RTX 50 SUPERの評価は、スペックではほぼ決まっている。
最後に残っているのは、NVIDIAが人間の払える値段を付けるかどうかだけだ。
まとめ:RTX 50 SUPERはBlackwellの完成形
RTX 50 SUPERは、GPUコアを大幅に増やした高速版ではない。
現行RTX 50シリーズに不足していたVRAMを補い、Blackwell本来の性能を使い切れるようにした完成版である。
RTX 5080 SUPERは、4Kゲーム、動画編集、3DCGまで一台で処理し、RTX 4090が担っていた役割を新品で置き換えたい人向け。
RTX 5070 Ti SUPERは、24GB VRAMを持つ4Kゲーマー向けの本命。
RTX 5070 SUPERは、DLSS、CUDA、NVENC、パストレーシングを使いたい人にとって、ようやく容量まで釣り合った70番台になる。
ただし、RTX 5070 SUPERはRX 9070 XTとの価格勝負。
RTX 5070 Ti SUPERはRTX 5080 SUPERとの価格差。
RTX 5080 SUPERはRTX 5090との価格差で評価が変わる。
スペックだけなら三製品とも強い。
特にRTX 5070 Ti SUPERとRTX 5070 SUPERは、無印モデルより明らかに構成の筋がいい。
RTX 50シリーズは、SUPERになってようやくGPU性能とVRAM容量が釣り合った。
遅すぎる修正だが、修正しないよりはマシである。
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